05 その事件は俺が少し目を離した隙に起こった。 なんと!! あの蓮が!!! キョーコちゃんに迫っていたのである!!!!! ・・・・・・とまあこれだけ書けば多少色めいた話にはなるが現実はそんなに甘いモンじゃない。 それはここ数ヶ月、蓮のマネジャーを続けていく上で更に身に染みて分かったこと。 あの芸能界1イイ男と称されてるあの蓮が!! 極度の恋愛音痴で!! しかも愛情表現は何処の小学生、いや幼稚園児だと言いたくなる様な『好きな子ほど苛める』!! キョーコちゃんもキョーコちゃんで純粋に嫌われているのだと思い込んで全く、これっぽっちも!! 蓮のことを意識してない!! 『DARK MOON』の時は盛大に怯えられてたしな、蓮・・・・・・フッ。 この二人をくっ付けようと苦節したが二人とも頑固な上に片方は恋愛音痴、片方は極度の恋愛嫌いとなれば苦労するのも当たり前のことで。 ・・・・・・正直、俺は疲れた。 だから今も蓮が怯えさせて泣いて平謝りしてるキョーコちゃんを可哀想だと思いながらもどこか遠い目でみるしかない訳である。 いいじゃないか。また頑張るからちょっとの間小休止させてくれよ・・・・・・っ!! 「あの、社さん?」 「はいぃぃぃっ?!!」 とまあ考え事に没頭していて急に声を掛けられると声が裏返るのも当然で。 声を掛けられた俺も声を掛けた人物も驚くのが当然ってモンで。 「び・・・・っくりしたぁ〜」 「へ?緒方監督?」 そこには今回のドラマの監督であり、名監督と言われる一人である緒方監督が胸を押さえて立っていた。 ・・・どうでもいいけどこの人本当に女っぽいよな。 *** 「へ?あの二人の仲裁、ですか?」 「ええ、皆さんの納得のいく理由も伺ってきて下さると嬉しいんですけど」 笑顔でなんつーコトを言うんだ、この監督!! 起こった蓮はそりゃあもう!!!!!! 怖いのに!!! 今の雰囲気だとあんまり怒ってはなさそうだけどそれでもあんまり近寄りたくない・・・・・。 「いや、監督命令で聞き出した方が早いんじゃ・・・・・」 無駄だと8割以上分かっててもそれでも足掻いてしまう俺。 虚しいことしてるよな。 「いえ。できればそんな事はしたくないんです。だからお二人と仲のいい社さんに伺ってきて頂こうかと・・・」 やっぱりな!! 「はい・・・・・」 最早それに承諾の意を返すしかなかった。 *** 「あー、蓮?」 「え、あ、社さん」 笑顔が不自然だぞ、蓮。 「さっきからキョーコちゃん泣いてるみたいだけど。どうした?」 ――明らかに今蓮の体が強張ったよな、今。 さては何かにまた嫉妬したな?それか拗ねたな? それだけキョーコちゃんに振り回されてるんだからさっさと自覚しろ、この恋愛音痴!! 「わ、私が悪いんですううぅぅぅぅぅぅ――――――!!!!!」 と、そこに響く聞きなれた・・・・・えっと、叫び声。 本当にそれだけは真面目にどうかと思うよ、キョーコちゃん。 「ど、どうしたの、キョーコちゃん」 蓮が悪いだろうことは分かりきってるけど一応聞いてみる。 「私がっ、しゅ、主演女優なのにその心構えができてないって叱ってくれてたんです!!」 アレっ?!そうなの? 急ぎ蓮を確認すると驚いた顔のあと・・・・・。 出た、必殺スマイル。 これは蓮の理不尽な怒りをあえて受け止めて尚且つ自分を庇ってくれたことが嬉しいんだな? やっぱキョーコちゃんが好きなんだろ、お前。 いい加減認めろ!! ま、今は初顔合わせを無事に済ませる事が必要だな。後でたっぷり追い詰めてやる。 「ん、分かった。さっきので監督たちも心配してたからさ。向こう行って顔合わせ始めよう?」 言っておくがキョーコちゃんにだけ!! 優しい笑顔を見せてさっさと顔合わせを終わらせるべく歩き出すのを促した。 *やっしー大好きです!!(ローリィ氏には及びませんが笑) *つか書きやす過ぎて思わず長文に; *まあ、半分以上私が思ってたりする事なんですが(笑) |