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「神林。後でお前だけ特別メニューや。残っとれ」 「はいっっ!!!!」 これが、俺と嶋本さんとのデートの合図。 デートだ。 俺たちヒヨコの育成の傍ら本来のトッキューの仕事もこなしている忙しい嶋本さんとの久しぶりのデートだ。 そう考えるといてもたってもいられなくて待ち合わせ場所のプールサイドでひとりニヤけた顔を晒してしまう。まあ、誰もいないからいいんだけど。 更に言えば、他のヒヨコの皆は同情の視線を俺に向けて帰っていった。・・・・・何だか星野君は気づいてそうだったけど。 ああ、けどいいや。 久しぶりに嶋本さんとゆっくり・・・かどうかは分からないけど会えるんだ。そんな些細なことは気にしない。気にしたくない。嶋本さんと会うときは嶋本さんの事だけ考えていたいんだ。 早く来ないかな、嶋本さん。 あ、違った。――――――進次さん、だ。 この間、 *** 「お前いい加減その『嶋本さん』ゆうんやめぇ」 「え、けどじゃあ何て呼べば・・・」 「『進次』でええやろが」 「ええ?!!そ、そんな、急には無理です・・・・・その、しん、じ・・・・・さん、なんて」 「ったく・・・・。こうなったら意地でも呼ばせたる」 「え?!何するんですか嶋本さん!!」 「イイコトや♪」 *** ・・・・・・・・・・・・・余計なことまで思い出してしまった・・・・・・・。 恥ずかしい。記憶の中の出来事とはいえ途轍もなく恥ずかしい。 ああもう!! これも進次さんが早く来ないからだ!! いつも5分遅れ、10分遅れは当たり前だし!! ・・・・・そりゃまあ、進次さんが忙しいのは知ってるしそれをやり繰りして俺と会ってくれてるのは凄く嬉しい。毎回遅れてきてもちゃんと謝ってくれるしそれにはあまり不満は無い。 けど、今日は無理。絶対無理!! 進次さんが現れたら絶対に言っちゃう!! 「悪い、兵悟!!また待たせ・・・・・」 「嶋本さん!!俺今日帰ります!!」 そうして俺は嶋本さんが呆気に取られている隙に脱兎のごとく逃げ出したのだった。 *兵悟乙女過ぎたか・・・・? |